夢を手放そう

今回は私の夢について語ろうと思う。
先日何の前触れもなくとある夢を思い出してしまった。

ブログに晒すか晒すまいかと悩んでいたが、とうとう晒すことにする。

その時私は四角いリングの上にいた。
その時の私にとってはまさしく『さぁんどぅおぉ~~~ぅばぁ~~っくぅにぃ~~~🎵」でおなじみの矢吹丈もびっくりのボクサーだった。
まさしく死闘と呼ぶべき攻防の中、「にぃくぅぃいい~~🎵、あんちきしょぉぉおぉぉおぉぬおぉ🎶」の顎を打ち抜くため彼奴の雨あられと降り注ぐこぶしの嵐の中を私は必死にくぐり抜け続ける。
そしてついに右ストレートを目も覚めるようなダッキングでかいくぐった私は、彼奴の顎を打ち抜くための一筋の輝く光の道を見つけるに至ったのだ。

極限の集中状態になると周囲がスローモーションのようになると言うが、その時の私はまさしくその境地に至り、彼奴の顎めがけて最短距離を走破すべく満を持して電光石火の右ストレートを放つ。自らの放った右ストレートさえスローに感じる世界の中、私の右拳は正確に彼奴の顎を打ち抜くと、残心を取るためすぐさま来た道を引き返し、自らの修まるべきところへ修まったのだ。

言葉にならぬうめきを漏らし、頽れてゆく彼奴を眺めていると、
「っいたっ」
っと、場違いな声が聞こえた。
それと同時に極限の集中状態は解除され、意識の覚醒を促す。急激な意識の変化に翻弄される私は次の瞬間には更なる極限状態へと引き上げられることとなった。
「いったーー」

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生来のチキンハート持ちである私は、瞬時に状況を把握し最適解を導き出すべく脳の演算機能をフルに稼働させる。そして出した答えとは、【寝たふりを決め込む】ことだった。

そう、今回の話は単なる夢落ちである。だがしかし、ただの夢落ちではない。私の命がかかっているのだ。
先ほど放った人生で最高の右ストレートは、あろうことか横で眠っていた我が女将の顎を直撃していたのだ。右肩を布団と挟むように右を向いて寝ていたのだが、自分の体重をものともせずに右拳は解き放たれ伏龍の逆鱗を打ち抜いてしまった。しっかりと感触の残った凶器を意識して後悔しつつも、打算がチキンハートを席巻し『意識が覚醒していると知れれば私は死を迎えるだろう』という強迫観念に突き動かされ、少し時間を置くために寝たふりを決め込んだのだ。

我が女将の迷いのない右手がぱちんと部屋の電気を付けた。

素直に謝ろうかとも思ったのだが、いかんせん少し時間がたっており気まずいことこの上ない。目は明けられぬがいぶかしげにこちらを睥睨する女将の姿がありありと想像できていまうため、震えをこらえるのでいっぱいいっぱいだ。
*1
今名乗りを上げたところで、起きとったんかい!となる事は必至。ならばと覚悟を決めた私は数か月の間も記憶の奥底に封じ込めることにし、何があっても起きるか!と寝たふりスキルをフル稼働させ切り抜けた。

ひょんなことから夢の話になりカミングアウトすると、何とか許して頂けた。

我が家族は実に多彩な夢を見る。ほかにも面白い話はいっぱいあるが、著作権の関係上、許しをもらわないと晒すことはできない。
各ご家庭にもこういった逸話はあるのではないだろうか?

*1:+_+